二つの瓶
物語を書く前に、主人公の相談をそのままタロットに預けました。ここにあるのは、そのとき返ってきた読み解きです。
相談
夫を見送ってから十年、毎週土曜の朝に浜のごみを拾ってきました。今朝のテレビで、海に溶けて消えるプラスチックができたと聞き、よかったと思う一方で、胸の奥がすうっと冷えました。私が拾ってきたものは何だったのだろう、と。正直に言うと、海のためというより、一人の朝が怖くて浜に出ていたのかもしれません。最近は膝が痛み、仲間からも「無理しないで」と言われます。やめどきなのか、続けるべきなのか、自分でもわからなくなりました。拾ったガラスのかけらで孫に小さな飾りを作るのが楽しみなのですが、それも言い訳のような気がします。この先、私は何を手に持って浜に立てばいいのでしょうか。
三枚の読み解き
過去
恋人・正位置
夫を見送られてから十年、毎週の土曜日に浜へ出てこられたのですね。その朝の一つひとつが、あなたにとって大切な時間だったのだと感じます。
恋人(The Lovers)の正位置は、選び取ること、心が寄り添うことを示すカードです。このカードが過去に現れたことは、あなたが誰かを思う心に従って、浜に立つ道を選び続けてこられたことを映しているのかもしれません。
現在
戦車・逆位置
戦車(The Chariot)の逆位置は、勢いのまま走り続けて、進む方向が見えにくくなっている状態を示します。今朝のニュースに胸が冷えたのは、そのことを体が先に感じ取ったからかもしれませんね。
ただ、これは失敗の印ではありません。ここまで走ってこられたからこそ、一度手綱を緩めて、自分がどこへ向かいたいのかを確かめてよい時期なのだと読むこともできます。膝の痛みを仲間の方が案じてくださるのも、その合図のひとつかもしれません。
未来
節制・正位置
節制(Temperance)の正位置は、異なるものを混ぜ合わせ、ほどよい釣り合いを探る調和のカードです。やめるか続けるかという二択ではなく、量や関わり方を整えていく道が見えてくるかもしれません。
たとえば、体に負担のかからない短い時間だけ浜に立つ。拾うことを目的にせず、海を眺めて風を感じる日があってもよい。そうして自分のペースを整えていくことが、これからの歩みを穏やかにしてくれるように思います。
まとめ
ガラスのかけらで孫の方に小さな飾りを作ることを、言い訳だと感じておられるのですね。けれど、誰かを思い、手を動かして何かを生み出すことは、とても温かな営みです。海のためか、寂しさを埋めるためか、その両方が混ざっていてもかまわないのではないでしょうか。
浜に立つ理由は、一つに決めなくてもよいのだと思います。膝をいたわりながら、今の自分に合った量で続けてみてください。そして、体のことや今後の進め方に迷われたときは、かかりつけの医師や信頼できる方にも相談なさってくださいね。
カードからの問いかけどこを足し、どこを抑えるのか。
読み解きは「月夜のアルカナ」が、この相談と三枚から返したものです。小説は同じ三枚を、別の角度から書いています。相談者は物語のための架空の人物です。
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